Archive for ‘リビア’

2012年10月21日

ロムニーのオバマ政権批判は的外れだった?駐リビア大使殺害事件をめぐって

ワシントンポスト10/20:CIA documents supported Susan Rice’s description of Benghazi attacks

2011年12月1日

LSE カダフィ・スキャンダル。ハーバードにも飛び火か?

【最新の動き:2011.11.30】former Lord Chief Justiceの Lord Woolf氏によるレポートが公表。
・BBC11/30:LSE criticised for links with Gaddafi regime in Libya
・テレグラフ11/30: LSE attacked over ‘disastrous’ ties to Gaddafi’s Libya
日本でも、東大を筆頭とする主要大学と原子力業界とのリンクを総括するレポートが必要?

【これまでのあらすじ】

社会科学系では世界のトップスクールであるLSE(London School of Economics and Political Science)。
2011年2月のリビア民衆蜂起を契機に、
LSEがリビアのカダフィ政権と癒着していた
との報道。

3月には、ハーバード大学関連のコンサルタント会社「モニターグループ」の関与が明らかに。
「モニターグループ」は、LSEとリビアの関係構築に関与しただけではなく、
月額2千万円を超える報酬で、カダフィー政権のコンサルタント業務・PR業務を受注、
その関連で、
国の競争優位」等、産業政策の研究で有名な経営学者マイケル・ポーターHarvard Business School教授、
アメリカを代表する国際政治学者でハーバード大学ケネディスクールのトップもつとめたジョセフ・ナイ氏、
世界的に著名な政治学者ロバート・パットナムHarvard大学教授、
歴史の終わり 」で有名な思想家フランシス・フクヤマ氏
などの名前まで挙がる異常事態に。

【これまでのマスコミ報道の整理:時系列順】

・イギリスの新聞テレグラフ2/22記事: 天下のLSEとカダフィの関係
カダフィー家の御曹司Saif al-Islam氏(→テレグラフ記事)は、LSEで博士号取得。彼の財団は、LSEに北アフリカ研究プログラムを寄付するLSEのスポンサーでもある。なお、彼の博士論文は”the role of civil society in the democratisation of global governance institutions”「グローバル・ガバナンスの制度の民主化における、シビル・ソサエティ(市民社会)の役割」。

→カダフィの息子さんと緊密な関係にあったLSEのDavid Held教授に、ガーディアンが直撃インタビュー。
ガーディアン2/21: Gaddafi’s son ‘will be in turmoil’ says LSE professor who acted as adviser – London School of Economics’ David Held remembers young man with deep commitment to liberal reform

→この問題に関するLSE側の公的発表:Statement on Libya

→BBC2011/2/22:UK university reviews funding from Libya

LSE学生ユニオンは猛反発。

→BBC2011/2/23:Gaddafi funds prompt LSE students’ protest LSEの学生12人がLSEのディレクターのオフィスをストーム、150人が抗議集会。学生から学校への要求:1.カダフィからもらった資金をリビアの民衆に返せ。その手段として、リビアの恵まれない学生のための奨学金制度を設立しろ!2.カダフィの息子Saif al-Islamの卒業生資格を剥奪しろ!3.今後一切、強権体制からの支援は受けるな! 4.リビア政府の人権侵害を批判しろ!以上!

→アルジャジーラ英語版2/25: Counting the Cost – Libya: From pariah to partner – We look at Libya’s role in the global economy as oil prices continue to rise and visit the London School of Economics where Muammar Gaddafi’s son once studied and submitted a 400-page report on civil society and human rights

→BBCニュースナイト2011/2/25: Gaddafi’s son Saif’s ties to LSE and Britain

Saif al-Islamの博士論文盗作疑惑についても、LSEとしては調査に追い込まれた。論文を審査した教官の1人にインタビュー。「かれは十分邪悪。そこに盗作をつけくわえなくてもいいんじゃないの?」だってさ。

・BBC Radio4 朝のニュースショーTODAY 2011/2/28:LSEディレクター Howard Davies氏が生出演。LSEカダフィ資金についての見解と今後について語る。

※2/28になって時事通信が配信した記事:寄付金目当てに博士号授与?=英名門大、カダフィ氏息子へ

・テレグラフ2011/3/3: LSE struck deal to train Libya’s future leaders -The London School of Economics struck a deal to train hundreds of “future leaders” of Libya, according to leaked diplomatic cables. Wikileaksで暴露された米国外交公電にみるリビアとLSEの協力関係

・ガーディアン2011/3/4: LSE director Howard Davies resigns after fresh allegations over links to Libyan regime as PR firm admits errors over lobbying
LSEのリビア癒着について疑惑が深まったとの報道。
1.アメリカのPR会社Monitor Groupルート(→ひょっとして、ハーバード・ビジネス・スクール絡みのこの会社?)。フランシス・フクヤマも関与。2.Wikileaksで暴露された米国外交公電で明らかになった協力関係(上記のテレグラフ記事と同じ)。

・2011/3/4 LSEディレクターのSir Howard Daviesが辞職。
テレグラフ2011/3/4:LSE director resigns over university’s Gaddafi links – Sir Howard Davies, the director of the London School of Economics, resigned last night over the university’s financial links to Col Gaddafi’s family.
チャンネル4ニュース記事 2011/3/4: Libya: LSE head resigns over links to Gaddafi regime – Channel 4 News
ITN2011/3/4:LSE director resigns over Gaddafi links
CNN2011/3/4:UK university chief quits over Libya links
skyNews2011/3/4:LSE Director Quits Over Links To Gaddafi

・BBC2011/3/4:イギリス各紙のLSEディレクター辞任報道のまとめ記事

・LSEディレクターをやっていたSir Howard Daviesって、どんな人物?
テレグラフ2011/3/4:Sir Howard Davies profile: distinguished economist with impressive CV - Before taking up his post as director of the London School of Economics, Sir Howard Davies held an impressive array of prominent roles.
経済学者などと書かれているが、この経歴(スタンフォードMBA→マッキンゼー勤務)を見る限り、経営コンサルタントあがりの、官庁エコノミストだと思うんですけど…。

・なぜ、LSEがこんなことに?
ガーディアン2011/3/4: The LSE’s Libya connection is only the tip of the iceberg – After losing its Fabian roots, the London School of Economics has engaged in an unseemly scramble for funding
LSE学生ユニオンOBの寄稿記事
ガーディアン2011/3/4:British government encouraged LSE to forge Libya links, says academic Colin Talbot, who taught on the LSE’s Libya programme, says Howard Davies ‘carried the can’ for British diplomatic strategy
イギリス政府が国策としてリビア接近を促してきたせいだ、とLSEリビアプログラム元教官。

ガーディアン2011/3/6 Saif Gaddafiと親しかったDavid Held教授について:LSE professor was forced to quit Saif Gaddafi foundation - PhD tutor joined board after Libyan leader’s son gave £1.5m donation to university

ガーディアン2011/3/7金銭関係を伴うリビアとの密接な関係を有するイギリスの大学が、 LSE以外にもあることが判明: Two more UK universities linked to Libya regime

カダフィ・スキャンダル、ハーバードにも飛び火か?

ガーディアン2011/3/4: US firm Monitor Group admits mistakes over $3m Gaddafi deal Consultancy group entered into multimillion dollar contract with Libyan regime to portray Gaddafi in a positive light
フランシス・フクヤマだけでなく、ジョセフ・ナイ、さらには、ロバート・パットナムまで登場。

ボストン・グローブ2011/3/4 大スクープ!: Local consultants aided Khadafy Cambridge firm tried to polish his image ハーバード大学教授が設立したコンサルタント会社「モニター・グループ」。この会社ににカダフィの依頼をもってきたのは、「国の競争優位」で有名なハーバード大学ビジネススクール教授マイケル・ポーターだった。モニター・グループは、リビア政府から、毎月25万ドル(1ドル=82円だと、月額2050万円)を受け取っていた。この毎月2050万円もらえる状態が、2006年から2008年まで続いたという。彼らがリビアでカダフィから請け負った仕事は…

・ボストン・グローブ2011/3/4 論説コラム『リビア, 広報, そして、 学界腐敗

・npr morning edition 2011/3/10:Mass. Firm’s Libya Work May Have Violated FARA Act モニターグループのリビア業務:FARA法抵触の可能性

・ハーバード大学ケネディスクール掲載記事With Libya’s Megalomaniac ‘Philosopher-King’: In a tent in the desert, Gadhafi explained why he could never tolerate any challenge to his supreme will:政治学者でハーバード大学教授のロバート・パットナム氏が、カダフィと面会したときを回想(上記「モニター・グループ」の仲介によるもの?)
 
・アメリカの経済誌ビジネスウィーク2007/2/20:Harvard Guru to Help Libya
Michael Porter wants to revamp Qaddafi’s creaky economy. But will privatization and “mini-MBAs” prevail over statism and red tape?

ハーバード・ビジネス・スクール教授のマイケル・ポーターが、カダフィから「モニター・グループ」の仕事を受注したことを伝えた記事。
 

・2011/3/7になって出た講談社クーリエジャポンの記事:カダフィのイメージアップに貢献した米国知識人たち  

・2011/4/6ビジネスウィーク→日経ビジネスオンライン:リビア・カダフィ政権のプロパガンダに加担した“御用学者”たち 

・カダフィー家の御曹司Saif al-Islam氏の金脈と人脈の研究
BBC 2011/3/4: How Libya’s Saif al-Islam Gaddafi seduced the West
金脈:The Libyan Investment Authorityを個人会社のように動かせ、天下のフィナンシャル・タイムズの親会社の株、サッカーのユベントスの株など保有していると記事は指摘。
人脈:記事はPrince Andrew, Tony Blair, Peter Mandelson,Nat Rothschildを友達として名前をあげている。

チャンネル4 Who Knows Who :   Saif  Gaddafi’s links with the LSE
Saif al-Islam氏の人脈研究。これはすごい。

・2011年2月になって、リビアで民衆が蜂起するはるか以前に、
LSEにたいして、カダフィ体制との癒着を糾弾する団体は存在していた模様。
Saif al-IslamがLSEへスピーチしに来た際に、彼らがLSEへ抗議する様子を撮影した映像。「LSEよ、恥を知れ!」がスローガン。カダフィ側のリビア人と、反カダフィのリビア人とのあいだで小競り合いがあった模様


※アメリカの経済学会でも、経済学者の資金バックが問題になっている→経済学者は自分の資金バックが誰なのか公表すべき?―経済学者倫理憲章をめぐるディベート

2011年2月27日

カダフィと中南米諸国の緊密な関係

アルジャジーラ英語版2/25:Latin America’s sudden silence on Gaddafi

知らなかった。このひと、いわゆる「不思議ちゃん」だと思うけど、意外と、うまいことやってたんだ…。

2011年2月27日

世界で最初にビン・ラディンをインターポールに国際手配したのはカダフィだった。

NPR Weekend Edition 2/26: A ‘Vacuum’ In Libya: An Opening For Al-Qaida?  

[上記記事の概要]

・カダフィとアルカイダの長年の確執。

・リビアの反政府=反カダフィ地下勢力とアルカイダとの長年の連携。

・アルカイダと連携する〈リビア国内の反カダフィ勢力〉をカダフィに監視・抑制させることによって、アルカイダを封じ込めようとしたブッシュ政権。(アメリカの敵リビアが、アルカイダの登場で、敵の敵で味方に。)

・カダフィなきあとのリビアが、アルカイダの手に落ちるのかどうかに、注目。

2011年2月25日

カダフィ演説

・BBC2/24:http://www.bbc.co.uk/news/world-africa-12566277  
イギリスの元駐リビア大使Oliver Miles氏が語るカダフィ演説。伝説的ですらある逸話の数々。
彼のアラビア語は、リビアなまりが強すぎて、リビア育ちのアラブ人にしか理解ができない。
話が長すぎる。メモも見ずに、思いついたことを話していく。
国連総会で彼が行った「歴史的演説」。制限時間は守らない。とっぴな内容(カダフィはパレスチナ問題の解決案を昔から提案している。それは、イスラエルIsraelとパレスチナPalestineの統一民主主義国家「イスラチナIsratine」の樹立。)。標準アラビア語からあまりに逸脱したリビア訛りのひどさ。長さと訛りのひどさで通訳がダウン。リビア国連大使は頭をかかえた。

・イギリスの新聞テレグラフ2/24: Libya: Gaddafi compares himself to the Queen in latest rant
 自身をエリザベス女王にたとえたらしい。

2011年2月23日

リビアの国内政治勢力

CBS evening news 2/25: Qaddafi: How much is he worth? CBS News investigation into the finances of Libyan strongman
カダフィ一族の資産規模。

NPR All Things Considered 2/25:How Do Libya’s Tribes Impact The Country? 
リビアの部族構造

NPR Morning Edition 2/25 : Economists Diagnosis Libya With ‘Resource Curse’
リビアの経済構造

BBC2/23解説記事:Libya: Who is propping up Gaddafi? こういうのが、知りたかった!!
・リビア軍はただの象徴で、実効力がない。カダフィーは、クーデター防止のため、リビア軍を意図的に弱くしている。貧弱な装備。不十分な訓練。たった四万人。だから、国軍が寝返ったところで、カダフィにとっては、どうってことはない。
・カダフィ体制を支えているのは、下記勢力。
1.国内の治安維持機関。秘密警察的。主要人物は、カダフィの義兄弟 Abdullah Senussi.。
2.国軍ではなく、カダフィの革命委員会の統帥下にある特別部隊。スイスで問題を起こしたカダフィの息子Hannibal氏が司令官であると考えられている(ただし、名目だけの可能性あり)。
3.民兵組織のような、準軍事的組織。国軍が寝返ったところで痛くも痒くもないカダフィ氏だが、これら体制を支える民兵組織が寝返ると、ヤバいかも。
4.傭兵。主にチャド・ニジェール出身者。一般市民に残虐行為を平気でやる。人数は少ないと考えられているが、忠誠心は強いらしい。なお、リビアにはアフリカ出身者が多く住んでいる(リビア総人口約600万にたいし、アフリカ出身者50万)
5.部族

BBC2/21解説記事: カダフィ家の人々:カダフィ家家系図と人物紹介・写真付。 これは便利! 
 カダフィ家の御子息たち。みんな華やかな職について大活躍。まるで石原家みたいだわ!

BBC2/21: Libya crisis: what role do tribal loyalties play?

ワシントンポスト:2/23: In Libya, increasingly divergent views of Gaddafi
リビアで取材していると、まだカダフィー支持派に遭遇することがあるというだけ。もっと、詳しい話がほしいな。

2011年2月23日

英国-リビア関係史:

・イギリスの新聞テレグラフ2/22記事: How Britain danced to Gaddafi’s tune

・イギリスの新聞テレグラフ2/22記事: 天下のLSEとカダフィの関係   
カダフィー氏の息子さん(→テレグラフ記事)は、LSEで博士号取得。彼の財団は、LSEに北アフリカ研究プログラムを寄付するLSEのスポンサーでもある。
→カダフィの息子さんと緊密な関係にあったLSEのDavid Held教授に、ガーディアンが直撃インタビュー。
  ガーディアン2/21: Gaddafi’s son ‘will be in turmoil’ says LSE professor who acted as adviser – London School of Economics’ David Held remembers young man with deep commitment to liberal reform

 
→この問題に関するLSE側の公的発表:Statement on Libya